今日は三ヶ月に一度の外来受診日だった。
このところ仕事がとんでもなく忙しく、休みもなく、毎晩ろくに食べられない日が続いたので、体重が2キロ近く落ちた。 そんな時の外来だったので、血液検査の結果が出るまでは若干の不安もあったが、どこにも問題はなく、おまけに移植後のGVHD(拒絶反応)の影響でずっと高い値を示していたγ-GTPが、とうとう正常値になっていた。 次回の予約をする合間に、主治医に急性前骨髄球性白血病(APL・M3)の最新の治療方法について軽く聞いたところ、オレが行っているがんセンターでは、再発時には「砒素で寛解導入した後に自家移植」が標準治療となっているそうである。もし兄弟のドナーがいた場合は、兄弟間の移植と自己移植はどちらが優先か?と聞いたところ、やはり砒素+自己移植なんだそうだ。 兄弟と言えども、移植後のGVHDに悩まされている患者は多いそうで、オレのようにほとんど何の影響も出ず、γ-GTPの値だけ高かったような例は本当に運がいいようである。 さらに主治医が言うには、アメリカの最新の研究では、初発時に「砒素+ATRA(ベサノイド)」で寛解導入をし、抗がん剤治療をするという治療がとても治療成績が良く、約80%の人が無病生存しており、従来の「ATRA(ベサノイド)+抗がん剤」による寛解導入による治療は約60%の無病生存であり、砒素を使用した治療の有効性が初発時においても立証されたとのことである。 しかし日本でそれを導入するためには、日本での追試験が必要であり、「砒素+ATRA」組と「ATRA」組に患者を分けての臨床試験を実施することになるそうだ。もっともアメリカでの試験結果で砒素組とATRA組で20%もの成績差が出てしまっている以上、いまさらATRA組の試験をするのは人道上問題があるので、「砒素を使用した初発時の寛解導入」という臨床試験のみ行うべきだろう、と珍しく力説していた。 ATRAも砒素も急性前骨髄球性白血病(APL・M3)の特効薬である。そのどちらも中国・上海大学のチームが発見・立証したものである。 このところ中国産のうなぎ、練り歯磨きなど、中国製品におけるさまざまな問題で、メディアによる中国バッシングが続いている。たしかに中国製のものの中には問題のあるものも多いのではあろうが、中国人の研究による薬によって命を救われているオレとしては、小さい声で「中国ばんざい」と叫びたいのである。 先日聞いた「ただの噂話」では、中国には血液製剤のバッタもんすら存在するらしい、のではあるが・・・。
by corotan59
| 2007-06-29 15:43
| これでも闘病中
|
ファン申請 |
||