博多での移植を終え、退院が近づいたころに看護婦さんに頼んでカタログを借りた。聴診器が買いたかったからである。 血液疾患の治療中で一番恐ろしいのは肺炎である。抗がん剤による治療中はもちろん移植後も当分の間は免疫系の能力が落ちているため、元々我々の体内に共存している常在菌が活性化して深刻な肺炎が引き起こされる。そして肺炎は命にかかわる。 そのため入院中はナースやドクターによって毎日聴診器をあてられているのだが、退院して自宅に戻るとそういうわけにはいかなくなるので自宅用の聴診器を手に入れて自分で肺の音を聞こうという作戦である。 なんの世界にもブランドはあるようで、カタログの雰囲気から察するに聴診器ではリットマンというのがトップブランドのようである。リットマンだけでも種類がいくつもあるしカラーバリエーションも豊富である。その他のメーカーやキティちゃんなどのキャラクターが付いたものまであり値段もピンキリ。これまで気にしてなかったが、気をつけてよく見るとドクターたちはみなリットマンの黒を使っている、それも一番高いヤツだ。 本当はドクターが使っているのが欲しかったのだが、ニセ医者になるわけでもないのでリットマンの中では一番安いヤツをネットで購入した。 聴診器を一本買っただけなのだが、一度会員登録したおかげでシーズン毎に新しいカタログが送られてくる、これがなかなか面白い。ナースの制服だとか動きやすそうな靴、聴診器、血圧計などは当然だが、アクセサリー、下着、ダイエット食品、転職情報、などなどナースの様々なニーズに対応しているらしいのが興味深い。 ところでせっかく買ったリットマンの聴診器であるが、到着直後に少し使われただけで長いこと持っていること自体忘れていた。調子の良い日々を過ごしているということなのだろう。
by corotan59
| 2006-03-19 13:17
| これでも闘病中
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