先日、派遣社員の面接があり北関東のある町出身の二十歳の娘に来てもらうことにしたのだが、オレは社会人になりたてのころその町にある自動車関連メーカーの工場にいた。履歴書に書いてある出身高校はその当時机を並べていた工場で一番美形の娘と同じであった。
オレがその工場に配属されたころ日本IBMから5550というコンピュータが出て、日本のオフィスを席巻した。工場でもブームに乗り遅れまいと一台導入したが、使う人もなく立派なカバーをかぶせてただ置かれていた。 しばらくして他の部門の30過ぎの先輩が本社に一週間ぐらい研修に出かけ、5550の使い方を習ってきたのだがそれでも5550が動くのは月にせいぜい1週間という程度だった。 入社2年目に、オレのいた部門は売り上げが芳しくなく一ヶ月生産を止めることになり、工場の現場の人たちは他の工場や部門の手伝いに行くことになったのだが事務所のオレたちはと言うと、適当に仕事らしくふるまってその一ヶ月を埋めることになった。 オレは元々ほとんど閑職に近い状態だったのでいよいよ時間の使い方に困り、思い切ってIBM5550の立派なカバーを開けた。教えてくれる人もなくいまのように攻略本のたぐいもなかったので全くの手探りではあったが、ひと月もすると表計算ソフトのマルチプランというのがなんとか動かせるようになり、隣の席の娘が紙と電卓で毎月苦労していた生地の用尺計算をデータを入力するだけで簡単に出来るようにしてやった。オレ自身にはコンピュータを使って省力化するほど仕事は無かったが、工場一の美形だった彼女に格好つけたかったのである。 しばらくしてオレは転職してしまったので工場一の美形とは一度メシを食っただけで、その後会うことも無い。 あれから20年以上たち表計算などは当たり前の世の中になった。 社内で使っているホームページが入り組んだ雑居ビルのようになってしまったのでサイト内検索の機能を取り入れようと思いたち、無料で公開されているノウハウで自分でなんとかしようとしているのだが聞きなれない言葉が並ぶホームページにたじろぎディスプレーの前で腕組みしていると先日採用した工場一美形の高校の後輩が「あーPerlとかでCGIを」などと軽く言う。 思わずひれ伏してお願いしてしまうオレであった。 たちまちパチパチとキーボードをたたき出す二十歳の彼女、どうやらここしばらくの懸案事項があっさり解決しそうである。 これで彼女が頑張ってる理由が隣のオヤジに格好つけたいなんてことだったら、なおうれしいんだけどね・・・。
by corotan59
| 2006-02-11 16:01
| ゆるゆるな日々
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